気楽な和食 第12回
牛小間切れ肉を使うと、食べごたえと軽やかさが同時に手に入ります。
ひき肉でつくる麻婆豆腐もおいしいのですが、小間切れ肉に替えると、噛むたびに肉の輪郭が立ち上がってきます。豆腐は絹でも木綿でもかまいません。水切りをきちんとして、崩さないようにそっと返すこと。それだけで、家の麻婆はぐんと違ってきます。
豆腐は二センチ角に切り、塩少々を加えた湯にくぐらせておきます。この一手間で水っぽさが抜け、味がぼやけません。牛肉は食べやすい大きさに切り、酒と醤油をもみ込んで十分ほどおきます。
仕上げに花椒を挽きかけると、香りが立ちのぼって食卓の空気が変わります。辛さは控えめに、香りは大胆に。それが家庭の麻婆豆腐のちょうどよさだと思うのです。
牛こま麻婆豆腐/きゅうりとザーサイの和えもの/わかめとねぎのスープ/ごはん
読んだ本のなかに出てきた料理を、記憶をたよりにつくってみる。うまくいかない日もありますが、その手さぐりの時間そのものが、読書のつづきのように思えるのです。