湖畔の道を折れると、木立の奥に小さな灯りが見える。焼きたてのチュロスの匂いが、扉を開ける前から届く。朝は近所の常連が新聞を広げ、昼は湖を歩いてきた旅人がドーナツをかじっていく。

「特別なことは何もしていないんです」と店主は言う。生地は前日から仕込み、揚げる直前まで冷蔵庫で休ませる。砂糖は控えめ、けれど衣はしっかり香ばしい。その加減が、毎日食べても飽きない理由だ。